二重に見える②

二重に見える②

2011.8.1

物が重なって見えたり、2つに見えたりするのは乱視だけが、原因ではなく左右の眼の位置(眼位)が引き起こす場合も考えられます。乱視は単眼の症状ですが、眼位は左右の眼で見ることにより現れる症状です。眼は水晶体の働きにより焦点を合わしたり、虹彩により眼に入る光の量を調節したり非常に精密に見ると言う事を実現しています。その中に輻輳・開散・廻旋等の作業により左右の眼で奥行きをつかむ事を行っています。眼の位置がずれる外斜視・内斜視・上下斜視が現れ2つに見えると言う症状が出てきます。また、意識していれば、1つに見えるが疲れたり力を抜いた状態のときに両眼視出来なくなる方もいます。この症状を改善するのは正しい処方によるプリズムを眼鏡に入れることにより改善を試みます。プリズムは光を曲げる作用があるので斜視による左右の眼の位置を修正し両眼視をしやすくします。プリズムによる矯正は単眼の視力が向上する訳ではないので効果が、すぐには解り難い事と、慣れにくい方もいますが、しばらく使用していて慣れてきて良好な結果が見られる事も見受けられます。まず、正しい検眼により状態を把握し対応することが重要です。

二重に見える①

2011.7.31

検眼表の指標が重なって見えると言う方は多く見受けられますが、そのほとんどは、乱視による場合で、これはカメラのレンズにあたる角膜及び水晶体の歪みによるものです。角膜は正面から見ると真円に見えますが多少楕円だと思って頂ければ良いと思います。普通は角膜の半径が異なる場合は角度が直交しています。球面レンズの様な工業製品は歪みは無く真円に作られているので焦点はレンズのどの部分も同じ屈折率ですが、人間は生物ですので多少の歪みが有るのです。乱視の場合は片目で見た時に認識されますが、片目では二重に見えないが、両眼で見ると二重に見えると訴える方もいます。この場合は斜視・斜位が疑われます。眼は輻輳・開散を行い近くから遠くまで左右の眼で両眼視をして奥行や立体感を感じているのですが、この両眼視の機能がうまく働かないと複視(左右の眼が違う角度で物を見る)が、起こり物が二重に見えたり2つに見えたりします。この、症状の改善に関しては来月に、続きを書きたいと思います。

眼鏡を掛けると子供の近視が進むのか?

2011.7.30

お子さんが近視と診断され眼鏡が必要と伝えると保護者の方は、直す方法はないかと尋ねられますが、仮性近視でない限り残念ながらその方法は今のところ見当たりません。近視は水晶体が無調節(一番薄い状態)の時に網膜の前に焦点が有るため近くは良く見えます。水晶体は無調節の時より厚くして近くに焦点を合わす事は出来ますが、無調節の時より薄くする事が出来ないため遠方を見るためには凹レンズの眼鏡を用いて矯正する必要が生じてきます。近視の原因は病的な症状が無い限り、角膜及び水晶体の屈折率が強い・眼軸(角膜頂点より網膜までの距離)が長い事があげられます。成長に従い眼球も大きくなり眼軸も伸びる為、近視は成長が止まるまで徐々に進行するのです。
多少の差はありますが20歳ぐらいで近視の進行は止まるようです。仮に同症状の近視のあっても眼鏡等による矯正の有無に関係なく大人になった時の度数は同じになりますので、近視により黒板などが見えにくい等の症状がでたら適正度の眼鏡で視力矯正をお奨めします。

コンタクトレンズは眼に異物?

2011.7.29

ソフトレンズのディスポタイプ(使い捨て)を使用の方でレンズの使用方法が理解できていない方が多いようです。1dayタイプですが1日使用したら破棄する1日使用が大前提です。ところがこれを何日も使用している方がいますが、それでは1dayではなくなってしまいます。目で見て汚れていないとか、友達がそう使っているからとかという方がいますが、その様なことではなく正しく使用するのがご自身の眼を守る事と考えてください。また、1dayタイプは1日の途中で眼にごみなどが入りはずした場合は新しいレンズを使用してください。そのためにも予備のレンズや眼鏡は必ず持ち歩くようにして下さい。2weekタイプですが2週間(14日間)使用可能なのですがこれは最長2週間という意味で途中で汚れが洗浄しても残ったり、洗浄中に少しでも切れたりした場合はたとえ、2・3日の使用でも新しいレンズに交換して使用します。良い状態で最高で2週間使用できるという意味で、どんな状態でも最低2週間使用ではないと心がけて下さい。また2weekは毎日の洗浄・保存が必要ですが、現在は1本で洗浄と保存が出来るものが多く使われています。この液を少量で洗浄している方も多いのですが、ご自身で思われているより多くの量で使用して頂きたい。ケース中の保存液も毎日の交換が必要ですし、ケースも時々洗浄し乾燥して再使用をしてください。レンズケースの交換も1ヶ月程ですると良いと思います。ソフトコンタクトは水分を多量に含んでいますので洗浄保存が不完全ですとカビ等が発生しやすいのでお気をつけ下さい。

累進焦点レンズ

2011.7.28

以前よりある遠用部と近用部に境目が見えるもの(バイフォーカルレンズ)に対し境目の無いレンズを使用した遠近両用眼鏡は今や主流となっていますが、利点と欠点を持ち合わせていると思います。
利点は1つの眼鏡で手元から遠くまで使用できること、欠点は遠く近くと1つの所を見る範囲が狭いということです。遠近両用眼鏡を必要となった方は水晶体のピント調節力が少しずつ低下して来ています。それをレンズの力を借りてカバーするわけですが、水晶体の働きのすべてを再現できるものでは有りません。水晶体は近くを見るときは厚くなり遠くに眼をうつすと薄くなり自動的に焦点を合わせます。現在のデジタルカメラはオートフォーカスでその性能は進歩を続けていますが、人間の眼はそれより数段性能が良いと思います。残念ながら遠近両用累進焦点レンズは人間の水晶体に比べると、まだまだ性能的には追いついてはいません。累進焦点レンズを使うには自分の頭を少し切り替える事が必要だと思います。たとえば読書などの近くを見るときレンズの上のほうでは良く見えません。レンズの上方は遠くを見る部分なので近くを見るときはレンズの下方で見ないとピントは合いません。レンズに境が無いためレンズ上方(遠用部)から下方(近用部)まで度が少しずつ変わっていくのです。また、遠用度と近くの度の差が大きいと歩きにくかったり
と言うような欠点も出て来ます。この様な事は近視の場合は遠くの過矯正、遠視の場合は遠方の弱矯正で起こりやすく共に近くの加入度が大きくなりがちのために起こります。遠近両用は遠くと近くのバランスが大事なので、よく相談し説明をよくお聞きになり製作することが大事だと言えます。

糖尿病の眼底②

2011.4.21

糖尿病の方は視力に変化を感じなくても定期的に眼底の状態を確認するのが必要ですが、この検査の時に必要となるのが散瞳です。散瞳とは眼の調節力を薬剤(点眼薬)により一時的に麻痺させる事です。主には水晶体のピントを調節する力と虹彩の眼に入る光を調節する力(カメラの絞りと同じです)を麻痺させます。薬が作用すると水晶体は無調節の状態になり、その眼の本来の度になります。この事により近くにピントは合わなくなります。虹彩は
大きく開き検査中に光を当てても小さくなることはなく眼底の状態を正しく診察できるようになります。眼底検査のためには必要な散瞳ですが、患者さん側の感覚では眩しさが続く、はっきり見えない状態がしばらく続くなどの症状のため、眼底検査を嫌がる患者さんを見かけますが、この状態が続くのは検査後3~4時間ですので、ご自身の眼の機能を保つために散瞳しての眼底検査を定期的に受けて頂きたいと思います。検査後しばらく見にくい状態が続きますので眼底検査で来院の時は自転車、バイク、自動車などを、ご自身での運転は危険ですので避けて頂くようお願いいたします。また、高齢者の方でお帰りの際に足元に自身の無い方は付き添いの方と、ご一緒に来院して頂くと安心です。糖尿病は血液の変化が眼底に変化を起こすわけですが、内科的な治療が良好な状態であれば、その他の合併症も発症を抑える事が出来ると思います。摂取カロリーの制限は、なかなか大変だと思いますが、眼のためにも頑張って頂くようお願い致します。

糖尿病の眼底①

2011.4.21

糖尿病にかかられた方と 現在治療中の方に。
以前より糖尿病は眼に影響が現れるという事で眼科の診察を定期的に行う様に言われていましたが、初期のうちは自覚症状が、ほとんど現れないため眼は大丈夫と自分で決めて定期的に受診しない方も多かったのですが、最近は自覚症状が無くても受診される患者さんが多くなってきました。「糖尿病になると眼が悪くなる」と言われますが、正確には糖尿病により血糖が高い状態が続くと眼底の血管に悪影響出て視力が低下するなどの症状が現れると言う事です。血糖が高いと血液に粘りが出で堅い状態になります。眼底の動脈は細いので、この状態の血液が流れると詰まるなどの悪影響が出て眼底出血や眼底の浮腫が出て視力に悪影響を及ぼします。この様な状態にならない様に自覚症状が無くても定期的に眼底の状態を診ていく事が必要なのです。初期症状であれば治療の効果もかなり期待できます。視力に影響が出る段階まで進行しまった後、治療を始めても治療の効果が、おもわしくない場合があります。糖尿病に、かかられたら内科的コントロール共にたとえ現在視力に変化を感じていなくても、眼底の定期的な診察を心がけるようにして下さい。

眼底検査

2011.4.21

眼の構造は,よくカメラにたとえられます。レンズの役目をする角膜や水晶体,絞りの役目をする虹彩,フィルムにあたる網膜などです。現在はデジタルカメラが主流なのでSDカード等のメディアと言うところでしょう。レンズの役目をする角膜や水晶体が炎症を起したり傷ついたりすると視力に影響しますが、これらの部分が正常でも、網膜に疾患があると良好な視力を得ることが出来なくなる場合があります。網膜剥離や視力をつかさどる黄斑部の出血などはご自身でも症状を感じると思いますが、中心部以外の出血や浮腫などは自覚症状があまりなく発見しにくいのです。眼底検査はその様な時にも、疾患を発見でき初期の内に対策を立てることに大きく貢献します。網膜は眼の奥にあるため暗いので診察時に明るい光を当て診察するのですが光を当てるとカメラの絞りの役目をする虹彩が小さく絞られてしまい奥にある網膜をよく診察することが出来ません。そこで散瞳剤を用いて虹彩を一時的に開くのですが元の状態に戻るのに約3~4時間かかりますので自動車等の運転は危険ですので、眼底検査などで来院するときは、ご自身は運転して来ません様お願い致します。

緑内障のお話

2011.2.21

緑内障は視野が欠けてきて進行すると見える範囲が狭くなってくる病気です。両眼の視力がある方は、もし片方の目に症状が現れてももう片方の眼で視野の欠けている部分を補うので初期症状は気が着き難いのです。また、片眼を隠して確認しようとしても眼は自然に見えない部分に眼を動かしてしまう事が多いため自分ではなかなか発見しにくいのです。緑内障は高眼圧が原因とされています。そもそも眼圧とは何でしょう。眼圧とは眼球の形を球体に保つ内側からの圧力のことです。ではなぜ眼圧が高いと緑内障になるのでしょうか?これには視神経乳頭と言う場所が関係しています。視神経乳頭とは網膜に結像したものを脳に送り見たものと認識されます。
この網膜の映像を脳に送る部分で動脈・静脈・視神経が眼球外部に繋がっています。眼圧が高いとこの部分を強く押す形となり視神経を痛めてしまい網膜の情報が脳に伝わらない部分が出来てしまうのです。しかも一度見えなくなり視野が欠けてしまった部分は治癒する事はないのです。緑内障は早期に発見し、それ以上の進行を止めると言う事が重要です。そのために早期発見が重要なのですが、人間ドック等を受けていない限りなかなか難しいと思います。40代になると緑内障が発症する事が多くなりますので、40歳を過ぎたら定期的に視野検査を受ける事をお勧めします。
新聞などで時々見かける正常眼圧緑内障は眼圧が正常であっても症状が出るもので、これは同じ重さの物を持っても軽いと思う方と重いと感じる方がいる様に視神経乳頭の眼圧に対する抵抗の問題で発症するものと考えられます。眼圧が正常値でも一応視野を確認する事も必要だと思います。眼圧の高低ではなく視野が正常か否かの問題なのです。視野検査は予約を必要としたり、検査で長時間かかったりしましたが当院では予約も必要なく比較的短時間で視野検査がおこなえますので、いつでもご相談ください。